CAAKレクチャーシリーズ23回奥村文絵『ごはんをデザインする、ということ。』

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こんにちは。

いつもお世話になっております。

 

笹が揺れる音などから、『涼』を探したくなる季節になってきました。

そんな7月の7日は、七夕です。

みなさんは、短冊にお願いを書きましたか?

晴れて天の川が見えているといいですね。

みなさまの願いが叶いますように・・・

 

話はかわり、今回のレクチャーは、日本の'たべる'をつくる会社Foodelco代表でありフードディレクターの奥村文絵さんです。

奥村さんの手がけた、山形県遊佐町でのイベント『17人の遊佐ごはん』や『800 for eats』を例にとりながら、今、食べること自体が『味』以外のところで考えなければならない、関われるところがあるということなどに関するお話を伺いました。

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ごはんをデザインするということは、身近なものをデザインすることですね。

奥村さんは、ごはんをデザインすることを考える時に一度

 

いつ(機会)

だれと(ターゲット)

どこで(空間)

どのように(食器/盛付け/家具)

どのくらい(パッケージ)

なにを(レシピ/食材)

 

に情報を分解するそうです。

奥村さんは、これらデザインを『モノのデザイン(食器/空間/家具)・コトのデザイン(どんな風に食べるか/アクションをデザインする)・ヒトのデザイン』といった3つの軸に分類できるのではと考えていらっしゃいます。

フードディレクターとういう仕事は、これらの中心に入り、それぞれを結びつけ、一つ一つをつくるより全体を創り出すお仕事のようですね。

 

奥村さんが企画された『17人の遊佐ごはん』の開催地の山形県遊佐町は、鳥海山から日本海まで広がる街で、砂糖以外の食べ物をほとんど自給できるそうです。

しかし、農家の方々は、魚も豚も米といった資源が豊富にあっても、売り方がわからない人が多く、昭和初期になくなり、試験場にわずか5粒程だけ残っていた『彦太郎糯(ひこたろうもち)』を復活させても売り方がわからず困っていたそうです。

(モチという漢字は、「餅」=臼と杵で突いて作った後のモチを表し、「糯」=モチ米を表しています。)


農家の人が売り方がわからないということは、日本国内で魅力的な個性のある農産物が生産されているにも関わらず、なかなか全国に広まらない理由の一つかもしれませんね。

 そこで、奥村さんは、間接的に遊佐のまちと彦太郎餅を知ってもらうために食べ方・出会い・買いたくなるカタチ・五感に訴えるカタチの提案をしたそうです。

彦太郎糯を売り出すために、折り曲げた紙ですべて出来ている箱に紅白の餅を包み、彦太郎糯の穂、彦太郎糯の云われや生産者などを書いたおみくじ型のパンフレットなどを入れたパッケージは、2008年度のグッドデザイン賞を受賞しました。

農作業や味だけで評価されていた農業が、デザインで評価されるようになって美大生もインターンに来るようになったと聞き、人との関わり方が良い方向に変化して、広がり、食べることをデザインすることの潜在的な可能性に驚かされました。


 

『17人の遊佐ごはん』は、直接的に遊佐で育まれるた米(彦太郎糯、プリンセスサリー、オオチカラ)の魅力を地元の人に知ってもらうために、どこの店に行っても遊佐の米を使った料理が食べられるようなイベントを開催したそうです。

このイベントのコンセプトは、米を作った人と同じ思いで料理する人のパフォーマンスをきちんと見せてあげたいというものでした。

17人のうち、13人が料理人、4人が農家であり、使う人と作る人どちらも主役、パフォーマーであるということから『17人の遊佐ごはん』のパンフレットに掲載されています。

たしかに、農家の方のパフォーマンスも素晴らしくなければおいしい食べ物は、作れないですよね。


奥村さんは、おいしい料理をただ食べに行き、帰るだけでは人は動かないだろうと考え、お米をきっかけにたくさんの人達が動いてくれるように周辺の風景、温泉、お土産など食べること以外のアクションの情報をパンフレットに載せたりもしたそうです。

こうした企画、デザインにより地元のお米に対する関心が地域住民に広がり、エリアの百貨店などの小売店で売られたり、料理人が継続して使ったりして地域が活性化されと聞き、僕らにもその熱が伝わってきました。

 


800 for eatsの事例では、日本の食料自給率が40%、農業人口が2.3%でありその平均年齢が63.4歳と紹介され・・・日本の食に危機感を感じました。

そうした危機を身近に感じていなかった人、僕も含めて多い思います。

800 for eatsは、いろいろな場所からいろんなものが集まる東京を日本の八百屋(=800の由来)に見立て、いろいろなものを編集・ものづくりしようとしていて、食の情報発信基地としての可能性を感じました。

モノが集約する東京に800 for eatsがあることで、作物を育てることできなくとも、産地と一緒に日本全体の伝統と技を応援することが出来そうで今後の活動にも期待できそうですね。



800 for eatsでは、佐賀県武雄市で生産されるレモングラスや500年前に中国から伝わり九州で生産される釜炒茶、静岡・高知・九州が作り始めている和紅茶、山形県遊佐町の彦太郎糯などを扱われています。

 その中でもレモングラスを奥村さんに持って来ていただき、レモングラスのお茶を会場の皆様と楽しみました。

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えて30cmほどの大きさに切られた茶葉だけに熱湯を注いで5〜6分ほどお茶を抽出しただけですが、心地よい匂いとほのかな甘さを堪能することができ、会場にいらっしゃった方は「おいしい」、「どこで買えるの」、「どうやって作るの」とうれしい声が。

紹介していただいた奥村さんと丹誠を込めて作ってくれた農家の方々、その他関係者の方々に本当に感謝です。

そんな、レモングラスを『800 for eats』のサイトで購入がすることができます。

あの味を再び楽しみたい方、飲んでみたい方、他のお茶に興味がある方、800 for eatsの活動に興味がある方は、ぜひアクセスをして下さい。


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関連URL

Foodelco inc.  http://www.foodelco.com

画本 - 奥村文絵  http://www.gahon.jp

800 for eats  http://800foreats.com

http://www.excite.co.jp/ism/concierge/rid_4750/pid_1.html

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レクチャー後は、パーティーです。

 caak_23_3.jpg


奥村さん、ありがとうございました。

 

次回のレクチャーをおたのしみ。

 

Y.W

 

 

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