レクチャー・シリーズの最近のブログ記事

2007年秋にアートと建築の横断を掲げて発足したCAAKこと、Center for Art and Architecture, Kanazawa

ですが、10年の節目を迎えるこの春3月をもって、解散することとなりました。

拠点としていました「CAAK寺町の町家」における活動の継続が困難になったこと、

この10年で金沢の町をとりまくアート・建築の状況もよい方に変化し、CAAK以外にも様々な活動の場が生まれてきたこと、

そして、主要メンバーのライフステージがあがり、それぞれの活動の場が広がり、実質的な活動時間がとれなくなってきたこと、

などが理由です。


10年間で、47回のレクチャー&パーティを行い、世界の第一線で活躍するアーティストや建築家、研究者のみなさんのお話を聞く機会を得ました。また、Kapoと連携したクリエイター・イン・レジデンスプログラムも24組(25名)を数え、ベルギー、ドイツ、オーストラリア等世界各地のアーティストがCAAKに滞在しながら、製作発表を行いました。(クリエイター・イン・レジデンス・プログラムは、Kapoに引き継がれ、継続いたします!)

資金も特定の組織もないなか、ここまで活動を続けてこられたのは、ひとえに活動に共感し、ご支援くださったみなさまのお陰であると、深く感謝しております。


つきましては、3月20日に最後になりますレクチャー&パーティを開催し、CAAK最後のイベントにしたいと思っております。

みなさまお誘い合わせの上、ぜひご参加ください。


長い間、本当にありがとうございました!


CAAK メンバー一同


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CAAK レクチャー&パーティ#48 (last!)

速報:ヴェネチア・ビエンナーレ2017 鷲田めるろ


CAAK最後となるイベント、レクチャー&パーティ#48 のお知らせです。

本年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館キュレーターとして、CAAKボードメンバーである鷲田めるろが選ばれました。

作家は岩崎貴宏さんで、2010年にCAAKで参加した「かなざわ燈涼会」での協働が、世界進出する形になりました。

今回は、5月のビエンナーレ・オープンを前に、最新の日本館情報を、鷲田よりお届けいたします。


【日時】2017年3月20日(月・祝) 18:00 -

【会場】CAAK寺町の町家 金沢市寺町2-3-4

【参加費】1000円

【定員】30名

【主催】CAAK Center for Art & Architecture, Kanazawa

【スケジュール(予定)】

19:00-19:30 鷲田レクチャー

19:30-20:00 質疑応答

20:00-21:30 パーティ


【お問い合わせ】office@caak.info ※要事前申し込み

参加ご希望の方はお手数ですがoffice@caak.info まで、

お名前、所属と携帯メール以外のご連絡先をお書き添えの上、お申し込みください。


【link】

www.labiennale.org/en/

https://www.jpf.go.jp/j/project/culture/exhibit/international/venezia-biennale/art/57/

みなさま、いつもお世話になっております。

久しぶりのブログ更新です!

 

春に開催したレクチャー&パーティーから約半年の時間を開けて、

先日『CAAK Lecture & Party 45 美容×建築』を開催いたしましたので

その報告をさせていただきます。

 

今回は普段のレクチャー&パーティーとは一風変わり、

美容サイドからGIGI代表の塚田純氏(以下、純さん)、

建築サイドからCAAK代表で建築設計事務所を営む吉村さんの

お二人に前に出て頂きクロストーク形式で行われました。


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夜7時に、まずは純さんのプレゼンテーションから始まりました。

髪をカットするのにも図面があり、お客さんの骨格から瞬時に

頭の中で展開図を引き、その通り迷いなく最後まで髪をカットするという話には、

建築サイドの人間として大変興味を覚えました。

 

続いて吉村さんが建築の大まかな歴史について西洋史を中心に紹介いただき、

その後、21世紀美術館を設計するに当たり考えたことをお話下さいました。

 

それぞれの分野に関するプレゼンが終わると、場所を居間から土間へと移し、

純さによるカットデモンストレーションが行われました。

普段人が髪をカットされている所を間近で、

さらに心置きなくジロジロ見れる機会などありませんから、

大変貴重な体験となりました。笑

カット中もどのような点を意識し、どの部分をカットすると

見た目にどう影響してくるかなど解説を交えて行ってくださり、

初めて接する世界に心惹かれ、時間はあっという間に過ぎました。

 

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髪と建築という全く異なるものを扱っていますが、

話を深めていくうちにデザインの普遍的な側面が垣間見えたりなど

大変面白い会となりました。

 

時間が経ち、夜9時にようやくパーティーが始まりました。笑

純さん自らご用意くださった、角煮、しょうが飯は大変好評で、

私が角煮に手を伸ばした時には隅の方に小さな欠片が数切れあるのみでした。泣

また、この会をもって正式なCAAKメンバーとなった金工大の小池くんを中心に、

GIGIの女性スタッフ2名とCAAKメンバーとで用意した料理はどれも美味しく、

会場からも良い感想を多く頂けました。


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日が変わっても話は尽きず、一人また一人と解散していき、最後に時計を確認すると時刻は2時半をまわっていました。準備から頑張ったCAAKメンバーは、手際良く押入から布団を出し、ぐっすり寝て朝帰りました。笑

 

私自身今回のレクチャー&パーティーを切っ掛けに、ファッションの歴史に少し興味を持ち、コンサバ系ってなんだ?と調べてみたりと新鮮な刺激を得られたように思います。

今後もこういった企画があれば良いと感じました。

 

そんなこんなな今回のレクチャー&パーティーでしたが、

今後ともCAAKを宜しくお願い致します。

 

ではでは

 

(文:いまい、写真:かなおか)



CAAKとKapoが行っておりますクリエイター・イン・レジデンスのプログラムのお知らせです。ご来場、ご参加いただけましたら幸いです。

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CAAK & Kapo Creator in Residence 7
児玉エミ レクチャー&歓迎パーティ
(CAAKレクチャー&パーティ44)

日時:2012年7月22日(日) 19:00-20:00
会場:CAAK寺町の町家(金沢市寺町2-3-4)
スケジュール
19:00-19:30 児玉エミレクチャー「自作について」
19:30-20:00 歓迎パーティ(※ドリンクのみ。食事の提供はありません)
参加費:500円(ワンドリンク付き)

内容:
2009年からCAAKとKapoは共同で「CAAK & Kapo Creator in Residence」を行っています。本プログラムでは、国内外のクリエイターが金沢に滞在して作品制作やリサーチ等を行います。今回、7人目となる参加アーティストは、カナダ出身の児玉エミさんです。

児玉エミさんはベルギーのレジデンスプログラムHISKを修了し、現在もベルギーのゲント市で制作しています。作品はビデオ、写真、ドローイング、テキストやパフォーマンスなどを使い、日常をテーマに制作しています。日系二世で、日本に暮らしたことがなく、今回初めて3ヶ月日本に滞在します。
7月から9月までの金沢での滞在期間、日本の文化を経験し,特に日本庭園の在り方がどのように日常生活に関わるかをリサーチします。

滞在制作の開始にあたり、歓迎パーティを行います。その中で、これまで児玉エミさんが制作してこられた作品についてご紹介いただきます。
ご来場頂けましたら幸いです。

主催:CAAK(Center for Art & Architecture, Kanazawa)、Kapo(Kanazawa art port)
助成:フランダース政府、ゲント市

CAAKレクチャー&パーティ42 のお知らせ

みなさん、こんにちは。
今回のCAAK Lecture & PartyはCAAK & Kapo Creator in Residenceの参加アーティストのRohan Hutchinsonさんに自作についてお話して頂きます。
オーストラリア、メルボルン出身のRohanさんは、金沢での滞在中に写真によって街に現れている表層イメージを切り出し、土地の持っている様々な階層(時代や意匠等)をリサーチします。
Rohanさんの歓迎会もかねてトークの後にパーティーを行います。
みなさんのご参加をお待ちしております。

【日時】2012年3月3日(土) 19:00 - 22:30
【会場】寺町の町家 金沢市寺町2-3-4
【参加費】1500円 (パーティーに参加されない方は1,000円返却いたします。)
【定員】30名
【言語】英語
【主催】CAAK Center for Art & Architecture, Kanazawa
【協力】Kapo
【スケジュール(予定)】
19:00-19:45 Rohanさんトーク
19:45-20:00 質疑応答
20:00-22:30   パーティ
−22:30   終了

【お問い合わせ】
office@caak.info ※要事前申し込み
参加ご希望の方はお手数ですが
office@caak.infoまで、
お名前、所属と携帯メール以外のご連絡先をお書き添えの上、お申し込みください。

【アーティストプロフィール】
Rohan Hutchinson
1978年生まれ。オーストラリア、メルボルン出身。
アーティストウェブサイト
http://www.rohanhutchinson.com/
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みなさん、こんにちは。
11/15(火)にCAAKレクチャー&パーティVol.41を開催させていただきます。
今回のゲストは建築家・金沢工業大学教授である水野一郎先生です。
昨年度33期生を最後に教壇を下りられた水野先生に、
CAAK寺町の町屋で金沢をテーマとしたお話をして頂きます。

みなさまのご来場、心よりお待ちしております。


【ゲスト】水野一郎|建築家・金沢工業大学教授

テーマ金沢学

日時2011年11月15日(火) 18:00 開始

会場寺町の町屋(金沢市寺町2-3-4)

参加費無料(パーティ参加に参加する方 1000円)

定員40名

スケジュール18:00-19:00 レクチャー 

          19:00-21:00 パーティ

主催CAAK Centar for Art & Architecture, Kanazawa

お問い合わせoffice@caak.info
※要事前申し込み(参加希望の方はお手数ですが、
office@caak.infoまでお名前と携帯メール以外の連絡先、
パーティ参加の有無をお書き添えの上、お申し込みください。)

【講師プロフィール】

学歴東京大学工学部建築学科 1964年卒業 
東京芸術大学大学院修士課程建築学専攻 1966年修了
職歴1966~1976 ㈱大谷研究室にて大学、研究所、集合住宅、会館等の 
          設計に携わる。 
1980~現在   一級建築士事務所㈱金沢計画研究所を設立。顧問として建築設計及び、地域計画の業務に従事。
教職歴1976~     金沢工業大学建築学科助教授 
1979~現在   金沢工業大学建築学科教授



CAAKレクチャー39 竹久侑

CAAKレクチャー39 竹久侑(水戸芸術館現代美術センター学芸員)
「水戸と震災:アートにできること、できないこと」

みなさん、こんにちは。
今回のCAAKレクチャーでは竹久侑さんにお話いただきます。
竹久さんは、ロンドンで勉強されて、今は水戸芸術館現代美術センターの学芸員です。「カフェ・イン・水戸2008」を担当したり、日比野克彦さんの「明後日朝顔プロジェクト」を市民有志の実行委員会とともに運営していたり、MeToo推進室と関わったりと、市民との協働企画にも積極的で、2009年からは大友良英さんディレクションの、市民が出演・運営する「アンサンブルズ・パレード」を行っています。
先日の震災で水戸芸術館も被災し、いまも復旧工事で休館中ですが、つい先日、広場での事業によって活動が再開し、7月末の展覧会事業の再開も決まりました。
震災を受けてアートができること、できないことを考えざるを得なかった、被災したキュレーターの竹久さんが、3.11以降、美術館職務の範囲の内外で考え、実践してきたことについて、水戸の被災状況とあわせて、お話を伺いたいと思います。

みなさまのご来場、心よりおまちしております。

【日時】2011年6月14日(火)19:00〜20:30
【会場】CAAK寺町の町家(寺町2-3-4)
【参加費】500円(1ドリンク付き)※レクチャー終了後、希望者で夕食に行くことを予定しています。
【定員】30名
【言語】日本語
【主催】CAAK Center for Art & Architecture, Kanazawa

【お問い合わせ】office@caak.info ※要事前申し込み
参加ご希望の方はお手数ですがoffice@caak.info まで、お名前、所属と携帯メール以外のご連絡先をお書き添えの上、お申し込みください。

【講師プロフィール】
竹久侑(たけひさ・ゆう)
1976年大阪府出身。水戸市在住。水戸芸術館現代美術センター学芸員。慶応義塾大学総合政策学部卒業後、写真家の事務所にて展覧会コーディネートやプロダクション・マネジメントの仕事を経て2002年に渡英。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジにて展覧会等アートプロジェクトの企画について修士課程で学ぶ。2005年までの3年間ロンドンでインディペンデント・キュレーターとして展覧会の自主企画やイギリス在住の作家を日本に紹介する事業に関わる。2006年より現職。「日常の喜び」と「カフェ・イン・水戸2008」の企画を担当したことを機に、アートと町、アートと人との関係性という以前からの関心に拍車がかかる。おもな展覧会=「リフレクション──映像が見せる"もうひとつの世界"」「大友良英『アンサンブルズ2010──共振』」ほか。

皆様こんにちわ。

最近は、半袖でも過ごせるほど暖かくなってまいりました。

調子に乗って布団もかぶらずに寝てしまい、ここ数日鼻水が止まらないのは僕だけでしょうか...?

 

さて61日に、福島を拠点に活動していらっしゃる建築家の佐藤敏宏さんがCAAKに立ち寄ってくださり、「東日本大震災報告会」というテーマで1時間弱のレクチャーをして頂きました。

 

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佐藤さんは10年前から建築を建てることをやめ、現在の世の中に発生している矛盾・問題点が、どのようなな経緯から起こっているのかを新聞等を読み返しながら、広い視点で勉強しなおしていました。

そんな最中今回の東日本大震災が起こり、地震・津波・原発の3つの災害を経て感じたこと、やらなくてはいけない事、3ヶ月弱たった今の被災地の現状を話してくださいました。

 

問題があまりにも多岐にわたっており、一つ一つが大きな問題であるため、1時間では到底時間が足りず、佐藤さん自身の魅力もあり、あっという間に時間が経ってしまいました。

 

現地では建築家・建築学生の活動は全くと言ってよい程なく、多くの人がとりあえずボランティア活動に参加し、建築のノウハウが活かされていない事を非常に危惧していらした。

また、佐藤さんは危険と判断され、次から次へと壊されていく建物の記憶と記録を後世に残すために、建物の実測調査を日々行ってらっしゃる。人手が足りず、夏休みなどを利用して、自分の判断で手伝に来てほしいとの話をしてくださった。

 

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今回は建築関係の方が多く集まったこともあり、被災地から離れたところに住む建築系の人間がどう関わることができるかというメッセージを頂いた。

佐藤さんのキャラクターもあり、終始和やかな雰囲気でレクチャーは進んだが、話からは強い意志を感じた。

 

パーティでは、一人一人に震災から今現在までに考えてきたことを聞いて回っていらした。話したいことが多すぎて、時間も限られており、今回は話したりなかった。

佐藤さんは、福島から金沢まで片道1万円程だし、いつでも呼んでくれれば来ると言ってくださった。さっそくいつ呼ぶかの話を数人でしています。笑

 


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今回は多くの事を伝えていただきありがとうございました。

また2年後にCAAKに顔を出してくださるということで、その時を楽しみにしております。

 

(いまい)


みなさまご無沙汰しておりました。

久しぶりのCAAKブログのアップです。

 

3月に入りました。

少しずつ気温も上がることもなく、春の気配を感じ取ることが一向にできない金沢ですが、皆様お元気にお過ごしでしょうか?

 

今回は先日行われたイベントについての報告をしたいと思います。

横浜国大建築系のOBOG+学生で結成されている「円錐会」というグループがあり、その円錐会が主催するUNICORN SUPPORThttp://unicorn-support.info/)というウェブサイトがあります。

 

大学やOBの活動を紹介するウェブサイトで、その中にインタビューを記事にしたシリーズがあります。

今回、能登デザイン室の姥浦千重さん・奈良雄一さんと、CAAK代表で吉村寿博建築設計事務所の吉村さんがインタビューを受けることとなったので、この機会に「CAAKレクチャー&パーティ 37 能登デザイン+UNICORN×CAAK」という形でCAAKとしてのイベントもやらせていただきました。


円錐会からは藤原徹平さん、伊藤暁さんと学生の方々に来ていただきました。

 

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317日の雪がちらつく中、お昼過ぎからまずはUNICORN SUPPORTによるインタビューから始まりました。1時間半程のインタビューが終わり、その後能登デザイン室さんに一階でレクチャーをして頂きました。

今回はUNICORN SUPPORTの企画がきっかけとなったので、会場の半数が横浜国大関係者でした。日中に行うということで、パーティではお茶と和菓子が出され、いつもとはまた少し違った雰囲気を持っていました。

 

能登デザイン室さんのレクチャーでは、地方を舞台に、建築を学んだ人間ができる、デザインを媒体とした生活・地域貢献の可能性を示していただいたように思いました。

外をブラブラ歩くことが大切だと話していらして、そこから地域の人とのコミュニケーションが築けるということでした。地域の人からは生活の知恵、食物を戴き、代わりに唐辛子のパッケージデザインを請け負ったりと、Win×Winの関係が上手に作られているように感じました。

建物の設計と共に、プロダクトに近いこともなさっていました。そちらも石川近辺の工芸技術を上手く取り入れた物となっていて、写真で見せていただいたものも非常にきれいなものでした。

 

質疑・応答では藤原徹平さんが、学生に質問をふり、その中で地方都市の話にも広がり面白いものとなりました。

 

能登デザイン室、円錐会の皆様、CAAK寺町の町屋まで足を運んでいただきありがとうございました。

 

今後ともCAAKは様々な企画を通じ、皆様と共通の場を持てたらと考えております。

またご支援の程宜しくお願いいたします。

                                                     (今井)


リンク先:能登デザイン室  http://www.notodesign.jp/
      藤原徹平       http://fashionjp.net/highfashiononline/blog/fujiwara/
      伊東暁        http://www.satoruito.com

みなさまご無沙汰しております。

猛暑だった夏も終盤ですね。やり残した事はないですか?


寺町のお祭りと同じ日に開かれたレクチャーシリーズ第35弾は

アーティストの中崎透さんと臼井隆志さんのダブルレクチャーという形で行いました。

 

今回はウェブサイトのartscapeさんの開設15周年企画「Dialogue Tour 2010」の企画と同時に行われました。

レクチャーはアートを制作、発信する場所を中心としたものでした。

 

 アーティストの中崎さんはキュレーターの遠藤水城さんと水戸で遊戯室というスペースを運営、臼井さんは仲間と共に練馬でアーティストイン児童館というプログラムを実行されています。

 遊戯室は、とにかくゆるく、自由に、という雰囲気が印象的で、最低限のルールを守ってさえいれば大丈夫といった感じでした。同時に作品を展示・制作する際に積極的にその地域を復興しようとする考えとは距離を置いた作品をつくってもらいたいし、そのような場でありたいということもおっしゃっていました。結果的に地域に貢献した作品となるのは良いともおっしゃっていました。

 また、美術館と違い、スペースや組織自体小さいものであり、お金もそれほどかからないため、ゆるく、細いネットワークでも維持が可能で、さらに直接的な関わりやウェブを通した出会いなどで幾重にもネットワークの糸を絡めていくかたちは興味深い話でした。

 このようなかたちは水戸という場所、例えば、対水戸芸術館、対周辺地域、対東京と考えた時にアートスペースとして有効に機能しているともおっしゃっていました。

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 その後、臼井さんのレクチャーはパーティーの中で行っていただきました。

アーティストイン児童館とは、児童館をアーティストに作業スペースとして提供するというプログラムです。

子ども達にとってはアーティストの創作活動の中で遊びながら、ワークショップに自然に参加する状態となるようで、ワークショップを行う場所を変える事で、創作活動、ワークショップの内容がよりリアルなものとなる、ということです。

 遊戯室とは違い、児童館という場の特性を積極的に利用していくかたちで、作品のみならず、子ども達とアートの関係にも幾らか影響を与えるものでしょう。

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 CAAK自体もオルタナティブな場であり、アーティストや建築家の話を聞き、パーティーで団欒して、いろんな人と話し、知り合える場として有効に働いていると思います。

 こういった活動がいろんなところにあると、日常が楽しくなると思うんですけどね。

 活動場所によって、地域の特徴に適するかたちや内容があり、また団体の枠組み自体がカチっとしたものでない分どんどん変容していくもののようですね。

今日もおいしい料理がたくさん並びました!

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中崎さんが水戸からいらしたということで「水戸納豆」というテーマでした。

おいしい食事とお酒もアートには必要かもですね。

s.k.

記録的猛暑の七月が終わろうとする晩。

日が沈んでも一向に気温は下がらず、聴衆でぎっしり詰まった畳の上を首の廻らない扇風機が温い空気をかきまぜるなか、レクチャーは始まりました。


「ばらばらなものがいっしょにいる

いっしょにいるはずがばらばらだ」


まず、多元的であること、というレクチャーのテーマが、ひらがなに置き換えられて画面に示されます。

ぐっとイメージが広がったものの、まだまだ長田さんの真意がつかめません。

それは、アンリ・マティスのロザリオ教会や、彫刻家ジョン・チェンバレンの作品を辿りながら、徐々に明らかにされました。

マティスが壁画を描くのに用いた長い筆。

新しい表現に求められる、新しい手法。その手法を探るやり方は、まさに建築とパラレルであると長田さんは言います。

また、チェンバレンの作品に織り込まれている「時間」の存在について。潰された自動車が鑑賞者の視線に出会ったとき、そこには過去の姿がバラバラに想起されるのです。


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2009年、石川県能美市に竣工した「Yo」は、そのような長田さんの関心が現れています。

斜面を含んだ700平米敷地にそっと置かれたこの平屋の住宅は、一つ一つのセルが独立しつつも、同時にゆるやかにつながるような空間が出現しています。

「多元的」であることは、更に外部と内部の関係にも求められました。

施主である吉田さんは金属加工会社を経営されており、外部の風景を映し出すステンレスのパンチングメタルは、施主施工の形で実現されたそうです。

このパンチングメタルによってもたらされる、季節ごと・時間ごとに異なる風景、3度という絶妙な角度をもって構成された方形のボリューム、そしてその中を歩き回る人間。

これらの要素が織り交ぜられて、バラバラなように見えるセル同士の関係が、一瞬ごとに出来上がり、変化し、全体としての建物の印象をゆるやかに形作ります。


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複数の共存しえないものが、同一性による担保に寄ることなしに、同時に成り立つこと、ひいてはそのような空間。

それは価値観が多様化し、皆がある意味での不自由さをかかえて暮らす現代の社会で、どうすれば互いに共存してゆけるのかという問いを、建築に置き換えた模索でもあったのです。


複雑なありようを明快に説く長田さんのレクチャーは、とても小気味よく、「多元的であること」というテーマは、単に建築という領域にとどまらない、広い社会に対峙しての構えであることに感銘を受けました。

また、「Yo」を見学させていただいた時に感じた、回遊している内部を歩き回るごとに、空間の印象がつぎつぎと折り重なっていくような感覚の理由がわかり、なるほどという思いでした。

(り)


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